#author("2024-10-16T03:24:09+02:00","","")
[[柴原]]
#author("2024-11-01T03:15:46+01:00","","")
[[中山]]

PSO(Particle Swarm Optimization)技術は、自然界の群れ行動に触発された最適化手法です。この手法では、複数の「粒子」(鳥)によって解の探索が行われます。

各粒子の位置は候補解を示しており、時間ごとに各粒子は自分の現在の位置でコスト関数を評価します。その評価値と、粒子がこれまでに経験した中で最も良かった位置(自己ベスト)を比較します。

各粒子は、自分の自己ベストを保持しており、他の粒子からの情報を交換することで、群れ全体の最良の位置(グローバルベスト)を特定します。粒子の移動の方向は、以下の2つの要素に基づいています:

1. 社会的要素:グローバルベストに向かって引っ張る成分
2. 認知的要素:自己ベストに向かって引っ張る成分

各粒子の速度は、以下の3つの成分から構成されています:

- モーメント成分(現在の移動方向を維持しようとする)
- 自己ベストへの成分
- グローバルベストへの成分

PSOの更新方程式は次のように表されます:

速度の更新:
v_i(k+1) = α_d * v_i(k) + β_d * (x_lbi - x_i(k)) + γ_d * (x_gb - x_i(k))

位置の更新:
x_i(k+1) = x_i(k) + v_i(k+1)

ここで、
- x_i は粒子の位置
- v_i は速度
- x_lbi はその粒子の自己ベスト
- x_gb は群れ全体のグローバルベスト
- α_d, β_d, γ_d は正の定数

基本的なPSOアルゴリズムは離散時間の性質を持ち、各粒子は単純な動きの方程式を持っています。これらの方程式は、群れ全体をコンパクトに表現することも可能です。

問題の次元を d、実行可能領域を Ω ⊆ ℝ^d、鳥の数を n、最小化する関数を f: Ω → ℝ と定義しています。

このようにして、PSOは群れの知識を活用し、最適解に向かって効率的に探索を行う手法です。

PSO(Particle Swarm Optimization)の新しい表現を理解するために、以下の要素を見ていきます。

位置行列 X:
X = [ x_1 ⋮ x_n ] ∈ (Ω × ℝ^n)
これは全ての粒子の位置を含む行列です。

速度行列 V:
V = [ v_1 ⋮ v_n ] ∈ (ℝ^d × ℝ^n)
これは全ての粒子の速度を含む行列です。

自己ベスト位置行列 X_lb:
X_lb = [ x_lb1 ⋮ x_lbn ] ∈ (Ω × ℝ^n)
各粒子の自己ベスト位置を保持します。

グローバルベスト位置 X_gb:
X_gb ∈ ℝ^d
これは群れ全体の最良の位置を示します。

目的関数ベクトル F:
F = [ f(x_1) ⋮ f(x_n) ] : (Ω × ℝ^n) → ℝ^n
各粒子の位置に対する目的関数の値を保持します。

ベクトル T:
T ∈ ℝ^d
全ての要素が1で構成される行ベクトルです。

ベクトル Q_i:
Q_i ∈ ℝ^n
すべての要素が0で、i番目の要素のみが1の列ベクトルです。

単位行列 I_n:
I_n ∈ (ℝ^n × ℝ^n)
サイズnの単位行列です。

これらの定義を用いて、PSOアルゴリズムの更新式は次のように表されます:

速度の更新:
V(k+1) = α_d * V(k) + β_d * (X_lb(k) - X(k)) + γ_d * (X_gb(k) * T - X(k))

位置の更新:
X(k+1) = X(k) + V(k+1)

自己ベストの更新:
X_lb(k+1) = 1/2 * (X(k+1) + X_lb(k))

自己ベストの改善:
X_lb(k+1) = X_lb(k) + [X(k+1) - X_lb(k)] * ζ

ここで、ζは次のように定義されます:
ζ = diag[sgn(F(X_lb(k)) - F(X(k+1)))]

このdiag[y]は、ベクトルyの要素を対角成分とする対角行列です。また、sgn(⋅)は符号関数で、次のように定義されます:
sgn(y) = { 1,  y ≥ 0;  -1,  y < 0 }

これにより、PSOアルゴリズムの全体的なフレームワークが整い、効率的に最適解を探索することができます。

この部分は、PSO(Particle Swarm Optimization)アルゴリズムにおける自己ベスト位置の更新方法を説明しています。具体的には、粒子の位置が改善されたかどうかに基づいて自己ベストを更新するための計算です。

自己ベスト位置の更新
自己ベスト位置 X_lb(k+1) は、次のように更新されます:
X_lb(k+1) = X_lb(k) + [X(k+1) - X_lb(k)] * ζ

ここで、ζ は以下のように定義されます:
ζ = diag[sgn(F(X_lb(k)) - F(X(k+1)))]

各要素の解説
自己ベストの更新式:
X_lb(k+1) は、前の自己ベスト X_lb(k) に新しい位置 X(k+1) から前の自己ベスト X_lb(k) を引いたベクトルに、ζ を掛けたものを足すことで計算されます。この計算によって、自己ベストが新しい位置に基づいて更新されますが、更新の影響は ζ によって制御されます。

ζ の定義:
ζ は対角行列で、各対角要素は次のように定義される符号関数 sgn によって決まります。

符号関数 sgn(y) は、次のように定義されます:
sgn(y) = { 1, if y ≥ 0; -1, if y < 0 }

つまり、F(X_lb(k))(自己ベスト位置での目的関数の値)と F(X(k+1))(新しい位置での目的関数の値)の差が0以上であれば、その成分は1になり、負であれば-1になります。

更新の意義:
ζ が1の場合、その位置は改善されているため、自己ベストが更新されます。逆に、ζ が-1の場合、その位置は自己ベストより悪いため、自己ベストはそのまま保持されます。この仕組みによって、粒子は自己ベストを賢く更新し、最適解に向かって進むことができます。

まとめ:
この更新メカニズムは、粒子が探索する際に過去の良い経験を活かしつつ、最新の情報を反映させるための重要なステップです。PSOアルゴリズム全体の効率を高める役割を果たしています。

この部分では、PSO(Particle Swarm Optimization)の連続時間モデルの開発について説明しています。以下に、主要なポイントを解説します。

連続時間モデルの必要性
- 自然界のスワーム: 自然の群れは連続的に動いており、固定の時間間隔でジャンプするのではなく、滑らかに移動します。この特性を反映することで、PSOの性能が向上する可能性があります。
- 離散化の影響: 離散時間モデルには不安定化の影響があり、学習プロセスに悪影響を与えることがあります。そのため、連続時間モデルの開発が望まれます。

連続時間モデルの方程式
連続時間モデルでは、次のように位置と速度の方程式が表されます:

速度の方程式:
V = −αV + β(X_lb − X) + γ(X_gb * T − X)

位置の方程式:
X = V

ここで、
X、V、X_lb、X_gb、T の次元は、離散モデルと同じです。また、α、β、γ は正の定数です。

状態の扱い
- 自己ベスト位置 X_lb: これは単なる位置情報ではなく、「メモリ」を持つ状態です。各粒子が見つけた自己ベストの位置は、その粒子がより良い位置を見つけない限り変わりません。
- 状態モデルの視点: X_lb は追加の状態とみなされ、その時間微分は自己ベスト位置が変わらない限りゼロです。新しいベスト位置が見つかると、状態が即座に変わる(インパルス的な変化)ことになります。

状態の進化の近似
自己ベスト位置の進化を近似するために、次のような方程式が提案されています:

xlbi = a(xi − xlbi) + a(xi − xlbi) * [sgn(f(xlbi) − f(xi))]

この方程式は行列形式で表現できます:

X_lb = a(X − X_lb) * [I_n + diag[sgn(F(X_lb) − F(X))]]

解説
- xlbi: これは粒子 i の自己ベスト位置の進化を示しています。新しい位置 xi が自己ベスト xlbi より良い場合、自己ベストが更新されます。
- 行列形式: 上記の行列形式では、状態の変化がスムーズに表現され、粒子の動きと自己ベストの更新を同時に扱います。

まとめ
このアプローチにより、PSOの連続時間モデルが提案され、自然界のスワーム行動により近い形で粒子の動きと自己ベスト位置の更新を行うことが可能になります。これにより、PSOの性能が向上することが期待されます。

この部分では、連続時間PSOモデルにおける自己ベスト位置とグローバルベスト位置の定義と特性について詳しく説明されています。以下に、それぞれのポイントを解説します。

**Remark 1: 自己ベスト位置の更新** [#n72257a8]
方程式 (10) を用いて、自己ベスト位置 x_lbi の更新の2つのケースを考えます。

**場合1:** [#ufc663b2]
f(x_lbi) − f(xi) ≥ 0

この場合、sgn(f(x_lbi) − f(xi)) = 1 となります。  
更新式は次のようになります:
x_lbi = 2a(xi − x_lbi)

これは、現在の位置での目的関数の値が自己ベスト位置での値よりも小さい場合、自己ベストが現在の位置に引き寄せられることを意味します。

**場合2:** [#eb666567]
f(x_lbi) − f(xi) < 0

この場合、sgn(f(x_lbi) − f(xi)) = −1 となります。  
更新式は次のようになります:
x_lbi = 0

これは、自己ベスト位置での目的関数の値が現在の位置での値よりも小さい場合、自己ベストは変更されず、保持されることを意味します。

**Remark 2: 自己ベスト位置の特性** [#lf8b76d7]
X_lb は必ずしも真のローカルベストではなく、近似に過ぎません。これは、連続時間アルゴリズムでインパルス的な微分が使用されないためです。

**グローバルベスト位置の定義** [#h092a7ce]
グローバルベスト位置 X_gb は次のように定義されます:

X_gb = X_lb Q_j where j = arg inf 0 < i ≤ n (f(x_lbi))

ここで、Q_j は自己ベスト位置の中で最も目的関数の値が小さい(最小の)インデックス j を持つベクトルです。  
X_gb は、システムの観点から見るとセットポイントとして考えられ、群れによって定義される動的システムの平衡点を変更する唯一の効果を持ちます。

**定義3: 連続時間スワームの動的システム** [#hdfe08f9]
最終的に、次のような動的システム Σ が定義されます:

**位置の方程式:** [#hbb6e095]
X = V

**速度の方程式:** [#w548e842]
V = −αV + β(X_lb − X) + γ(X_gb * T − X)

**自己ベスト位置の更新:** [#j4cca630]
X_lb = a(X − X_lb) [I_n + diag[sgn(F(X_lb) − F(X))]]

**グローバルベスト位置の定義:** [#mfc1f0a2]
X_gb = X_lb Q_j where j = arg inf 0 < i ≤ n (f(x_lbi))

**まとめ** [#j15bcc3e]
このモデルにより、PSOの連続時間アプローチが具体化され、自己ベストとグローバルベストの更新メカニズムが明確に定義されています。これによって、群れ全体の動的挙動を効率的に扱うことが可能になり、より自然なスワーム行動を模倣することができます。

この部分では、PSO(Particle Swarm Optimization)の連続時間モデルにおける動的システムが定義されています。以下に、各方程式を詳しく解説します。

**動的システムの定義 Σ** [#oe2e1f7b]
PSOの連続時間モデルは、次の4つの方程式から構成されています。

**位置の方程式:** [#aeccad91]
X = V  
ここで、X は粒子の位置を表し、速度 V に等しいことを示します。これは、位置が速度に依存していることを意味しています。

**速度の方程式:** [#a7b7e649]
V = −αV + β(X_lb − X) + γ(X_gb * T − X)  
この方程式では、粒子の速度 V がいくつかの要因によって決定されます。

- **摩擦項:** −αV は、粒子の速度を減少させる摩擦のような効果を示します。
- **自己ベストへの引力:** β(X_lb − X) は、粒子が自己ベスト位置 X_lb に引き寄せられる力を示します。
- **グローバルベストへの引力:** γ(X_gb * T − X) は、群れ全体の最良位置 X_gb に引き寄せられる力を示します。

これにより、粒子は自己ベストやグローバルベストに向かって動くことが促進されます。

**自己ベスト位置の更新:** [#ed0f59b1]
X_lb = a(X − X_lb) [I_n + diag[sgn(F(X_lb) − F(X))]]  
この式は、自己ベスト位置 X_lb を更新するためのものです。

- **変化量:** a(X − X_lb) は、現在の位置 X と自己ベスト位置 X_lb の差を表し、スカラー a によってスケールされます。
- **状態の変化:** diag[sgn(F(X_lb) − F(X))] は、目的関数の値に基づいて自己ベストが更新されるかどうかを示します。

もし現在の位置での目的関数の値が自己ベストより小さい場合(改善された場合)、自己ベストは更新されます。そうでない場合は、自己ベストは変わりません。

**グローバルベスト位置の定義:** [#l00bd0c7]
X_gb = X_lb Q_j where j = arg inf 0 < i ≤ n (f(x_lbi))  
X_gb は、グローバルベスト位置を示します。これは、群れの中で最も良い自己ベスト位置を持つ粒子の位置です。  
Q_j は、自己ベスト位置の中で最も目的関数の値が小さいインデックス j に対応するベクトルです。この定義により、グローバルベスト位置が動的に更新され、粒子はこの最良の位置に向かって動くことができます。

**まとめ** [#z514c6ba]
この動的システムは、PSOの連続時間モデルを構成し、粒子の動き、自己ベスト位置の更新、グローバルベスト位置の定義がどのように相互に関連しているかを示しています。このモデルにより、粒子がスムーズに動き、最適解を探索するプロセスがより自然に模倣されます。

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